ヴェネチア・ビエンナーレはイタリアの島都市ヴェネチアを会場とする、芸術のオリンピックとも呼ばれる展覧会です。今回、建築部門の参加国は約60カ国となりました。
他国のパヴィリオンではシェアやコミュニティ、サステナビリティ(持続性)をテーマにする館が多くありました。一方で日本館では日本館の模型やインスタレーションは家具や小物まで再現されて、人々の暮らしやアクティビティが想像できるようになっているなど、テーマである「縁」をわかりやすく表現したプレゼンテーションで頭一つ抜けていました。また経済的な低迷が続いたところで東日本大震災が起き、あらゆる分野で価値観の転換を迫られている状況に対して、建築家がどのように応えているのかをていねいな展示で紹介した点が高く評価されました。
日本館のテーマ「en[ 縁]:アート・オブ・ネクサス」
高度経済成長終焉後の現代日本において、新しい価値を求めて活動する若い世代の建築家たちの実践を3 つのテーマから紹介する内容です。現代日本で今現在起こっている出来事や課題に真摯に向き合い、失われつつある繋がりや、まだ誰にも見えていない結びつきを、丁寧に紡いでいこうとする建築家たちの活動に光を当てた展示となっています。

日本館の審査員特別賞
1991年に同建築展に初参加して以来、日本館の受賞は3度目。これまでに96年と2012年に2 度、最高の金獅子賞を獲得しましたが、いずれも震災後の獲得でした。