◼️研究室紹介

今日,日本の高度経済成長の原動力となった多くの建築物が更新時期を迎え,いかにそういった建築物を維持管理し,耐久性を高めていくかが大きな課題となっています。さらに,これからの社会においては,CO2排出量削減をはじめとした環境負荷低減が求められ,建築業界においても低炭素社会の実現に向けた大きな課題が山積しています。

兼松研究室では,以上のような課題を解決すべく,建築物の耐久性についての診断・予測や維持管理法に加え,新時代における建築物の環境配慮や新規技術開発について,建築材料学的視点から研究を行っています。2019年度は兼松教授,西尾助教のもと,博士課程3名,修士課程9名,学部4年生9名の計23名で活動し,耐久性の観点からコンクリートの炭酸化や新しい維持管理法の有効性調査,鉄筋腐食による付着性能の解明,セメントを用いない新しいコンクリートの開発などの多岐にわたる研究を行っています。

兼松研究室では,「ナノスケールの材料科学から実構造物の調査まで」,マルチスケールの研究で幅広い視野を養います。

◼️主な研究内容

1.鉄筋コンクリート構造物の新しい耐久設計に関する研究

 2.建築物の維持保全手法の開発に関する研究

 3.中性子利用技術の鉄筋コンクリート造への応用研究

 4.低環境負荷型材料技術・新規材料技術の開発

 5.建築材料分野の新技術開発研究 既存材料であるコンクリート・木材を中心に,新規材料(ジオポリマー)や新規技術(3Dプリンティング)等,幅広く研究活動を行っています。

◼️主な活動

□ゼミ

兼松研究室では,毎月定期的にゼミを行い,一人ひとりの研究成果を報告し合っています。学生の報告や実験や研究の進捗状況に対し,院生や先生方がコメントし,時には一緒に研究の進め方を相談していきます。全員がゼミに参加することで,情報共有がスムーズになり,他の学生の研究から学びを得ることも出来ます。

□調査活動

調査系の研究グループでは,全国各地の既存構造物に赴き,実際に使用されているRC部材の実地調査を行っています。既存構造物こそ,何年間も自然環境に曝露された貴重な試験体です。実際に供用されている建築物からしか得られない情報もとても多いです。過去には,長崎県の端島(軍艦島)をはじめ,旧・国立霞ヶ丘陸上競技場,宮崎県の都城市民会館で調査を行いました。

□実験

 兼松研究室では,年間を通して様々な実験を行っています。実験に使用する鉄筋コンクリート等の作製から,実験装置の組立て,データの分析まで,学生が管理し行うことが多いのが特徴です。また,学内の実験棟だけでなく外部の研究施設に行く機会もとても多く,普段の生活ではなかなか入ることのできない,貴重な施設を利用して研究を行うことも。主体的に研究事に向き合うことで学問の専門性を高めると同時に,スケジュール管理や人をまとめる能力を身に付けられます。

□研究室合宿

 夏~秋には,親睦・交流と学習を兼ねた研究室合宿を行っています。毎年,学部4年生が企画・運営し,合宿を盛り上げています。最近では,福島県での鍾乳洞見学や木材工場見学,栃木県の石材資料館の見学等に訪れています。また,合宿中に研究活動の中間発表会を兼ねて行うこともあり,日頃大学内で行うゼミとは一味違った場所で議論をすることでより研究が深まります。

□学会発表

兼松研究室では日本建築学会,日本コンクリート工学会の年次大会をはじめとして,国外を含め多くの対外発表を積極的に行っています。自分の研究成果を発表することで,学外の方々から客観的な多くの意見をいただける貴重な機会となっています。

また,2019年度には,日本建築学会主催「2019年度日本建築学会大会(北陸)」において若手優秀発表賞,日本材料学会主催「コンクリート構造物の補修,補強,アップグレードシンポジウム」において優秀論文賞を受賞するなど,研究内容も高く評価されています。

◼️1年間の流れ

4月:研究室お花見

5月:

6月:

7月:コンクリート工学年次大会

8月:研究室合宿

9月:日本建築学会大会,中間発表会(B4,M2)

10月:アップグレードシンポジウム

11月:

12月:OB/OG会

1月:

2月:卒業論文発表審査会,修士論文発表審査会

3月:新B4配属,卒業式・修了式

◼️関連リンク

・兼松研究室公式HP

定期的に研究室のイベントや様子,研究成果等を更新しています。是非ご覧ください。